みなさんは、お金が何処から生み出されるか?と聞かれると、国が造幣局に指示を出して、お金を刷る事で通貨が増えると考えている人が多いと思う。
もしくは、国が赤字国債を発行し、国民が赤字国債を購入する事で、国庫にお金が入り国家予算として運用されている。
また、お金は国民が銀行に預金したお金を銀行が企業に融資を行い、融資の利息で儲けていると思っているかも知れない。
「国の借金、過去最大1114兆円 1人当たり901万円」というニュースが出て、日本がデフォルトの危機と思っているかも知れない。
これは全部誤解である。
MMT理論とは、近年巷を騒がしているお金に関する理論であり、とんでも理論なんて呼ばれているが、この理論を読み解く事で、お金に関する誤った知識がいくつか解消される。
その前に、知っておかないといけないのは、「金本位制」「管理通貨制度」の二つ
金本位制とは、金(gold)を通貨価値の基準とし、自国の通貨と金を一定比率で交換することを国が保証するという制度です。国はいつでも金との交換に応じられるように、発行した通貨と同額の金を中央銀行に保管しておく必要があります。
みなさんは、この制度の知識がベースになっていると思います。
金本位制が1971年ニクソンショックにより崩壊、世界は管理通貨制度へと移行します。
管理通貨制度(かんりつうかせいど)とは、通貨の発行量を通貨当局が調節することで、物価の安定、経済成長、雇用の改善、国際収支の安定などを図る制度。本位制度(金本位制、銀本位制)に対していう。 管理通貨制度のもとでは通貨当局は金や銀などの保有量とは無関係に通貨供給量を増減させることが出来るので、第二次世界大戦後から情報革命を背景に電子記録としての預金通貨を止め処なく増やしている。
MMT理論(wikipediaより)
MMTの特に大きな特徴は、貨幣の起源や制度に焦点を当て、管理通貨制度の下で政府が独自に法定通貨を発行している国家を 前提としている点である。 政府に通貨発行権があれば、政府の意思に基づき通貨発行による支出が可能である。 政府が通貨発行で支出可能なのだから、財源のために税を集めるという理屈は成立しない。 このMMTの見解は、政府の財源を税と債券発行によって先買権的に調達すべきであるとする主流派経済学の見方に挑戦するものである。 そして自国通貨建てであれば政府債務がどれだけ増加しても、政府は通貨発行で当該債務の償還が可能なため債務不履行(デフォルト)には陥らない。 この構造によって政府債務の償還能力に対する市場の信認も磐石なため、政府債務の拡大が信用不安につながることもない。 したがって、適切な財政収支は税収や自国通貨建ての債務の大きさとは無関係であり、常に足元の国民経済の状態に左右される。 ゆえに政府は税収や債務残高にとらわれず支出や減税が可能であり、それにあたっての制約は供給能力(インフレ制約)であると、MMTは主張する。
お金は国がお金を刷る事で生み出されているわけではない。
実は、銀行が個人や企業に融資する事で生み出されている。
銀行が融資をすると、預金通帳に融資した金額が記入され、銀行側の貸付金に融資した金額が記載される。
これがお金が生み出される仕組みと言うか、このタイミングでお金が無から生み出されている。
その後、融資を受けた人は、経済活動をして、融資金額と利息を銀行に返す。
融資を受けた人の預金通帳には経済活動した結果の金額から、融資額と利息がマイナスされ、純利益分が預金通帳に残る。
銀行は、貸出金が融資の返済で相殺され、利息分が銀行の利益として残る。
結果的に、融資した金額はすべて消えて、純粋に融資を受けた人の利益と銀行の利息が世の中に生み出される。
金本位制が崩壊してからは、中央銀行が実物資産を持たなくても際限なくお金を生み出すことが出来るようになった為、お金を生み出すのは銀行の融資になりました。
では、造幣局の役割りは?というと、際限なく生み出されるお金に対して、現物の紙幣やコインを増やさないとお金が足りなくなる事態が発生するので、その穴埋めに通貨を発行していると考えるとしっくりきます。
キャッシュレス決済を国が推進しているのにもこの辺りが関係している可能性もあります。
国の借金が増えすぎて、日本がデフォルトするというニュースがいくつかありますが、実はこれは大きな誤解で、国内だけの借金を見れば合っているのですが、本来日本国全体で見ると、日本は他国に対しての資産が大量にあります。
財務省は2020年5月26日、2019年末の日本の対外資産・負債残高を公表した。 政府や企業、個人が海外で保有する資産から、海外投資家らの対日投資を示す負債を差し引いた 対外純資産は前年末比6.8%増の364兆5250億円となり、5年ぶりに過去最高を更新した。 世界最大の純債権国となったのは、29年連続。 2019年の対外資産残高は約1098兆円にのぼり、日本の国内総生産(GDP)の約2倍だと 紹介。「日本が2つあるようなものだ」といかに海外に投資しているかを伝えている。 また、対外負債を差し引いた対外純資産残高は約364兆円だと指摘し、 これは2位のドイツの1.2倍、3位の中国の1.5倍に当たると説明した。
分かりやすく言うと、日本は預金通帳を2つ持っており、1つの通帳には借金だけの通帳で、もう一つの通帳は海外の資産がたんまり入っています。
ニュースで流れるのは、この借金だけの通帳です。本来2つの通帳を見ると預金の方が上回っています。国民の不安感情や、税金を徴収する大義名分を得る為にこのような報道をしています。
日本の借金についても、90%ほどが日本人向けの借金の為、デフォルトする事自体があり得ません。
乱暴な言い方をすれば、日本人の円建ての借金が返せなくなりそうなら、さらに国債を発行するだけでそれは賄えます。
国家がデフォルトするというのは、海外向けの負債(ドルや他通貨)に対する利息や借金が払えなくなる状況となりますので、世界一の純債権国がデフォルトするのはあり得ないという事なのです。
金本位制が崩壊してからの世の中は、金(Gold)の保有量に関わらずお金が増やせるようになった為、お金は無限に増えていくようになりました。
そして、お金が増える事で、貨幣価値が下がり世界がインフレーションしていってます。
日本の通貨を考えても、昔は1円の下に銭という通貨の単位がありましたが、今は通貨自体が存在せず、為替レートでしか存在しません。
世の中の仕組み上、経済活動をすればするほど銀行が融資を行い、お金が増えていきます。
日本だけでなく、世界各国が同じ仕組みでお金が増えていき、インフレーションで貨幣価値が下がると、通貨の単位を変更し、新しいい紙幣が登場するという流れになるわけです。