ギフテッドの脳は、右脳と左脳を繋ぐ脳梁が太く、右脳と左脳の情報伝達が一般人とは違うとあったが、では右脳と左脳が分断されるとどうなるのか?と言う所を今回は見て行こうと思う。
実は、右脳と左脳が分断されるとエイリアンハンドシンドロームという病気になる。
エイリアンハンドシンドロームを聞いたことがある人は少ないと思うが、脳卒中などで、脳の一部に損傷が出た場合にこの症状が報告されている。
具体的には、右脳と左脳を繋ぎ、情報伝達を行う脳梁部分が損傷すると引き起こされる病気である。
尚、今現在では治療法が確立していない病気でもある。
エイリアンハンドシンドロームの症状とは、自己の意思あるいは意図とは無関係に上肢が動作するなどの運動障害である。「他人の手症候群」とも呼ばれる。道具の強迫的使用や両手間の対立が認められるとされている。
1944年、アキライタスが、てんかんを治療するために脳梁を切開した2人の患者のケースについて詳しく述べました。その患者のうち1人は、右手にしてほしいと思った動作を意に反して左手が勝手にすると訴えました。医者たちはこの病態を統合運動障害と名付けました。
1972年、ブリオンとジェディナックがこの病態をエイリアンハンド症候群と名付けました。この2人の著者は、この左手の奇怪な運動を脳梁損傷に特徴的な症状であると解釈しました。2人は、切断症候群の症状を多く示す4人の患者の行動を分析しました。患者の症状には以下のようなものがありました。
2人は研究の結果、エイリアンハンド症候群の症状はいくつかの神経疾患と関連があることを証明することができました。
右脳と左脳を繋ぐ脳梁を分断することにより、右脳と左脳の連携が取れなくなり、右脳が支配する左半身と左脳が支配する右半身が別々に考えて行動するようになる。
右手と右足を制御する左脳は主に言語の能力を司っている。左手と左足を制御する右脳は主に空間認識とパターンの認識を行っている。通常はより分析的な左脳が支配的で、我々の行動の最終決定権を握っている。
左脳の優越性の発見は1940年代にそのルーツがある。外科医がてんかんの治療のために脳梁の切除を初めて行った時代だ。患者は回復後無事にみえた。心理学界ではこのことは語りぐさとなっている。その患者たちがやがて驚くべき事実を明らかにした。脳の両半球はそれぞれ別の意識をもち、独立した意志をもつことができるという事実だ。
この事実を最初に明らかにしたいくつかの実験を行ったのは、神経生物学者のロジャー・スペリーだ。
ある特に印象的で映像の記録も残されている実験では、脳の両半球を切り離された患者がパズルを解く様子を見られる。
このパズルは絵に描いた形に合わせてブロックを並べるというものだ。最初は患者の男性は左手をつかってパズルを解く。左手は極めて簡単にブロックを並べた。そこでスペリーは患者に今度は右手でパズルを解くようにいう。すると右手は明らかになすべきことの手がかりを得られず、左手がこれを助けようとすると右手は拒否し、右手と左手が子供の喧嘩のような状態になってしまった。こういった実験を通じ、スペリーは「それぞれの半球はそれ自体で知覚し、思考し、記憶し、推論し、意志をもち、感情をもつ意識のシステムである」と結論づけた。1981年スペリーはこの業績に対しノーベル賞を受賞した。